ハナヒョウタンボク Lonicera maackii ( スイカズラ科 スイカズラ属
 外国で撮影してきた植物を同定することは、十分な図鑑が入手しにくいことが多く、難しい。特に発展途上国では調査が十分でないことも加わって、わからない事が多くなってしまう。モンゴルも同様で、中国やロシアの情報に頼らざるを得ない。ここに掲載しているヒョウタンボクも同様であった。
 モンゴルのウランバートル、科学アカデミーの裏庭に真っ赤な果実を付けた低木が目に付いた。2つの果実が融合した状態になっており、葉が対生であるので、Lonicera ヒョウタンボクの仲間であることはすぐにわかる。その後、植物園に垣根のように列植されているのに出会った。低木状で立ち上がるのであるが、長く伸びた茎はスイカズラのようにツル植物的でもあって、部分的には垂れ下がっている。
 調べてみるとLonicera maackii とするのが最も適切であると思えた。いくつか変種があって、そのような記載もみうけられるがこれ以上の詳細な同定は困難であるので、L. maackiiとしておくことにする。学名で検索すると英文のサイトばかりが引っかかってくる。読んでみると、分布の中にJapanという文字が見える。日本にも隔離分布するらしい。
 L. maackii は、中国の北部や西部、モンゴル、ロシア南部、韓国に分布し、日本の長野県、岩手県に隔離分布しており、和名をハナヒョウタンボクという。英語名はAmur Honeysuckle、Bush Honeysuckle。有毒植物だそうで、嘔吐、下痢、麻痺などの症状が発する場合があり、特に液果は死亡の可能性があるとのこと。しかし、最初に出会ったとき、同行者が液果を口に入れ、つられて小生も味わってしまった。悪味であったが、少量であったためか、特に症状はでなかった。日本では環境省レッドデータでは絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。樹高は6mになるといい、葉は無毛に見えた。花はスイカズラと同様に白から黄金色に変化するとの記載があるが、モンゴル来訪は8月末であったので、すでに果実の時期であった。
 北米やニュージーランドには帰化しており、鳥によって種子が散布され、林床に一面に繁茂して在来植物の脅威を与えているとのこと。人間には有毒であるが、鳥にはよく食べられ、日本では絶滅危惧種であるが、北米では有害植物である。所変われば品変わるというが、生育する生態系によってかくも立場が違ってしまう。
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